司とエアは前日にある相談を行っていた。内容は”次に貰う支援物資は何にするか”である。

「RI社にありそうなものでしょ〜? ……なんでもありそうなのが怖いけど」

「まぁ基本的にはなんでもあると言っても大丈夫だと思います。それにここは言わば巨大な実験場のように扱えるので、案外オーバースペックな物を渡されるかもしれませんよ? その分ハイリスクでしょうけど」

「あのF−5もガラクタ掴まされたかと思ってたけど、実際はオーパーツの塊だったもんね」

「普通の人間には影響が大きすぎたのではないでしょうか。放射能漏れが酷いとか……」

「……それ、冗談だよね」

「で、話を戻しますと」

「オイッ! なんだよそのスルーの仕方は! 無茶苦茶怖いじゃんか!! まぁいいや、で必要なのは……ありすぎて困るな。大体RI社から貰えるものだけじゃ攻撃関連は足りないだろ」

「小火器の提供を受けますか?」

「いや、それよりも足が欲しいな。ヘリコプターだヘリコプター。それならどこにでも降りれるし、万が一戦線が間延びしても早馬とかなんとかよりは役に立つでしょ」

「そうですね。確かに輸送機の1つや2つはあった方が何かと便利でしょうし……となるとお古のチヌーク辺りでも貰いましょうか」

「チヌークか。長年の実績もあるし、中古も出回っているでしょ。よっし、それで決まり! 姉さんと話付けておいて」

「分かりました」

それから数分後にエアが二つのメインローターを持つ大型輸送機 CH−47 チヌークのこちらの世界への転送を要求したのだが……





奇しくもエアが要求を行ったその時に、RI社発足以来最大の危機が幕を開ける。





《━━それでは次のニュースです。本日行われた温暖化防止会議で、日本に本拠地を置く了田グループがモデル企業に選ばれました。同グループは世界中の企業と提携を結んでおり、関連会社全ての排出する温室効果ガスの総量は━━》

「ぶっ!?」

社長室で書類と格闘……の合間の休憩にテレビを見ていた遥は飲んでいたコーヒーを盛大に吹き散らした。彼女が働いたあかしである紙束に漆黒の液体は無慈悲に降り注いだが、今はそんな事を気にしている場合ではない。

《━━であり、今回了田 響会長が確約された8割削減が実行されますと、全世界で年間に発生するガスの量が30パーセント程減少するとの見通しです。同会長はRI社等、自分のグループの企業がモデルに選ばれた事を光栄に思うと━━》

「何が光栄に思うよっ!? おじいちゃんは気でも狂ったの!?」

遥がコーヒーカップを放り投げた。その時点ではあまり中身は零れていなかったのだが、不幸な事に放物線の途中に唐突に現れた研究員の斉藤にその分だけ多くコーヒーが掛かる事になる。

「うわっち!? ……しゅに〜ん」

「あぁ悪いわね」

「まぁいいッスよ。確かに今はなんでも信じられるからねぇ。コーヒーカップが空飛ぶ事なんて造作も無い事でさぁ。と、本題です。赤電話2番」

「……今頃電話ね。国民の皆さんの方が早く知っているくらいだわ。ってアンタたちもテレビ見てたの?」

「社会を知る事も仕事の内ですよ。まぁ主任の10日分くらいの仕事は午前中に済ましましたから」

でっぷりとした腹を叩きながらニヤニヤする斉藤を叱る権利は無いと判断し、遥はさっさと赤電話へと向う事にした。

怒り任せにドアを蹴り開け、研究室を横断する。

テニスコート30個分はあるだろうと思われる研究室は、歩くたびに研究員たちが起こす爆発やらその破片やら放電やらを避けなくてはならないような物騒な場所だ。だがそれを嫌って社長室に赤電話を置くような事でもあれば、冗談抜きで各国のお偉いさんへの対応に1日を使うような事態になるので、敢えてその面倒を遥は甘受する事にしている。

その結果、先方を毎回かなり待たせる事になるが、副次効果として本当に必要な時だけしか電話を掛けて来なくなるという物が確認済みであり、遥の研究進展に大いに貢献していた。

社長の義務を鼻から放棄しているようなものだが、自分の研究に命を捧げても会社の発展に命を捧げる気は毛頭無い遥にとっては、時間は立場などというものよりもよっぽど大切なものである。本来ならその場で社長の席から外れるようなものだがそこは了田家、よく分からない力学を働かせて、今も遥は会社の最上部に君臨し続けていた。

最後に盛大な爆風を背中に受けつつ、遥は赤電話のある安全ゾーンへと辿り着く。電話番をしていた研究員がようやく来たかと安堵した表情で立ち上がった。

「もう5分間は鳴りっ放しですよ。幹事長のじい様からです」

「ありがとう。研究に戻っていいわ」

遥が電話を受け取ると、研究員は耳を押さえながら部屋を出て行く。爆音の響く部屋でも聞こえるようにと、赤電話の呼び出し音も爆音のようになっていたからだ。よって、電話番を任されるのは新米か、遅刻などペナルティを科された者や、”生死を分けるじゃんけん大会! ルールはただ1つ、生き残れ”(通称詐欺ジャン)のその日の午前の部と午後の部のどちらかで負けた者である。詐欺ジャンは研究員全員でじゃんけんを行うというだけのモノだが、とにかくどんな手を使っても勝ちは勝ちなので、後出し、サクラ、賄賂、etcetcという事象が散乱するえげつない内容の物だ。

『もしもし』

「どうも、一郎おじちゃん。今回の選挙は全然ダメだったじゃない」

『おぉ遥。久しぶりなのに容赦の無いその口振りは変わらないようだな。おじちゃんは安心したよ』

赤電話2番の相手、向井 一郎は日本の二大政党の1つ、自由民主党の幹事長であり、更に付け加えると遥や司の叔父でもある。了田家の人間は深く広く政界と繋がっているが、ここまでし上がれたのは、近年においては彼1人だけだった。

「……それで、今日は何の用かしら? この前アクセス権を上げたアネスの使い勝手が悪かった?」

『いやいや、野党の動きもバッチリ掴めるし、相手方のスキャンダルには事欠かない生活を送れているよ。おかげでF−Xに遥の所の戦闘機を入れれそうだ。おっと、この会話もエシュロンに記録されるんだったかな?』

「大丈夫よ。少なくともうちの会社はアネスシステムでエシュロンによる盗聴を防いでいるからね。大統領暗殺の話をしたって連中の傍受網には引っ掛からないわ」

彼等が話しているのは通信傍受システムの事だ。エシュロンはアメリカで軍事目的に作られた物で、電子情報の収集などを地球規模で行う巨大なシステムである。公式には存在を認められていないが、日本もこのシステムに参加しているという話もある。

アネス(America No Echelon nanka Siranaine!)システムはRI社が独自に開発したもので、基本的にはエシュロンとやっている事は変わらないが、更に通信の妨害や改ざんも行う事が出来た。

『そいつは凄い。アメさんとは仲良くやるに越した事はないが、痛くも無い腹を探られるのは決していい気分じゃないからな。それで本題だが……』

「温室効果ガス削減の事でしょ?」

『知っていたか。という事は既にニュースか何かで流れているな』

一郎は苦虫を噛み潰したような声を出したが、直接被害にあう運命となった遥はその比では無い。

「おかげでこっちは泡食ったどころの話じゃないわ。酷いじゃない、勝手にこんな事を決めて! おじいちゃんもおじいちゃんだけど、そんな重大な事決めるんだったら1度でも現場に話を通してから……」

『落ち着きなさい遥。こうなった以上はしっかり対策を行うしかないだろう。しかし今回は驚いたよ。なんたって私も今さっき初めて事の成り行きを聞いたからね。どうやら響会長はこれをビジネスチャンスとして見ているようだが』

「冗談! ただでさえ金食い虫の温暖化防止対策にさらに金を注ぎ込めってのよ? しかも80パーとか舐めてんの!? どうやったらそんなに削減できんのよ!」

彼に言われるまでも無く、現在は何にしても省エネやエコなんたらをやらないと物が売れない時代となっていた。ましてやヨーロッパにも多く支店を持つRI社は、その日本と比べられないほど高い環境基準と戦わなくてはならない。そのせいで平時からガス削減や省エネなどには他企業の倍以上は金を注ぎ込んでいた。おかげで今の地位を維持しているが、それを更に行えと言われても、既に会社の持てる技術全てを使い切っているのだ。

『そうなんだよな。響会長も考えなしとは違うから何か……でも技術畑の人間じゃぁないよなぁ』

「科学者の苦労も知らないでいい気なもんよ全く」

『まぁまぁ、ただ温室効果ガス削減が本当に出来た場合は確かに儲ける事が出来るぞ。付け焼刃な知識だが、二酸化炭素排出枠というものがあってね。企業がその年に排出出来る二酸化炭素の量を予め決めておいて、それを超える二酸化炭素を排出すると罰金、逆に決められた量を下回ると残った分だけ排出権として企業や国に売る事が出来るんだ。罰金の額は尋常じゃないから、排出枠を超えそうな企業や国はこぞってその排出枠を買い取るんだ。その量は億単位とも言われている』

「…………………………………………億………………………………………?」

遥は黙り込んだ。そして頭の中で計算を始める。

今までは対策をする費用の事しか考えていなかったが、それが金儲けのチャンスになるというのなら話は別である。

「一郎おじちゃん……それって突き詰めるところ、二酸化炭素の地球上での排出量を減らせばいいんだよね?」

『ん? あぁ……多分そうだと思うが……』

「……なら話は簡単よ。おじちゃんは心配しないでいて。これは確かにBIGなビジネスだわ」

遥が舌なめずりするように言った。

『……何か思いついたようだな』

「えぇ、とびきり上等な案をね。直ぐにニュースで賑わう事になるわ。そん時を楽しみにしていてね」

『何をやる気だ?』

「それは勿論、後のお楽しみよ」

『釣れないなぁ。銀座のママさんみたいな事を言うなよ』

「あら、そう言われるって事は私が大人になったって証拠ね。それじゃ直ぐに仕事に取り掛かんなきゃならないから切るわ」

遥は言うなり電話を切る。

いきなり電話を終了された一郎は呆れて受話器を見つめていたが、しばらくするとクックッと笑い出し、葉巻をくゆらせ始めながら言った。

「バカ……大人の女はそんな子供みたいにはしゃがないんだよ」











そして現在に至る。

「たく……俺たちゃ人間だぜ? こんなに働かせて殺す気かっての」

「殺しゃぁしないわよ! なんたってアンタたちはこの遥様の子分なんだから、大事に使い潰してあげるわ!」

「余計悪いっつーの!!」

オスプレイの整備員の怒号がRI社浜藤中央工場に響いた。もっともこの工場で叫び声の響かない日など、少なくとも遥がRI社社長になってから1日も無かったが。

「オヤっさん! もっと部下を鍛えなきゃダメじゃない!」

「何をバカ言っている!! こちとら嬢ちゃんの無茶難題に首が回んねぇ状態なんだ!! 一々もやしっ子の育成なんてできるかっ!!」

遥にオヤっさんと呼ばれた工場長の榊原さかきばらが奥にある巨大な飛行機らしき物のエンジン部分から顔を出して怒鳴った。もう定年まで片手で数えるほどという歳だが、未だに精力的な人物である。

「……もう本当にオヤっさん以外に社長を止めれる人がいなくなりましたね」


「最後の希望ッスよ。工場長……!」

油まみれの整備員たちが哀願した。彼等の顔には一様に疲労が浮かんいる。

それもそのはずである。ここの所の仕事量は異常で、数年前から行っている世界初の大気圏外巡航旅客機”イカロス”のプロトタイプ製作に加え、数日前からいきなりF−5の魔改造を1日で行うように要求されたり、まさに今それをやっているのだが、V−22 オスプレイのニコイチどころかロッコイチなど、常人の域を超えた仕事をしていたからだ。

特にV−22担当になった者たちは、了田 司絡みの取引という事で昨日いきなり編成されて、そのまま貫徹である。

所々焦げた部品を設計図を元に試行錯誤で組み立てていた整備員たちが、時々愚痴を言い合っていたのだが、ひょんな事から少しおどろおどろしい話を始めてしまった。

「それにしても社長はV−22なんてものをどっから持ってきたんだか」

「コレ、ここに運び込まれた時の状態を知ってるか? 今は少し洗ってあるけど、最初は真っ黒焦げだったんだぜ? アメリカで試験飛行中に物凄い数の死亡事故を起こしたって言うし……」

「あぁ、確かWIDOW MAKER未亡人作成機って言われてたんだっけ?」

「……じゃあこの焦げは……もしかして事故機をそのまま……」

整備員たちはゴクっと唾を飲んだ。

その中の1人が思い当たる事があり、どもりながらポツリと言う。

「お、俺、V−22の中でなんか骨の欠片っぽいもの触っちゃったんだよね……………か、帰ったらムッちゃんに塩撒いて貰おう」

どうやら迷信家のようで、かなり慌てている様子だった。

それを見て同僚がからかい出す。

「おい、もし取り憑かれたとしたら……作り直したの昨日だし、もう家に住み着いているんじゃねぇのか?」

面白半分で言ったのだが、それが悪かった。

「……そういえば今朝むっちゃくちゃ頭痛かったし、ムッちゃんの機嫌も悪かったような………………すみませんが早抜けします!」

「お、おいっ!?」

迷信家は同僚の静止を振り切って外に飛び出し、タクシーに乗ると憑き物も落ちるような勢いで消えてった。

「……お〜い、頭が痛かったのは昨日自棄酒したせいで、奥さんの機嫌が悪かったのはそのせいで帰りが遅くなったからじゃねぇのか? ……てかお前の穴は誰が埋めるんだよ……」

残された同僚が呆然として零す。

そしてやれやれと思いながら作業に戻ろうとしたが……

パンッと先輩の整備員に肩を叩かれた。

「責任は……ちゃんと取れよ」

「ま、マジッッスか!?」

追い討ちは時には奇襲と同じ効果が出るらしい。

そんな感じにお世辞にも環境の良い職場では無かったが、それでも彼等がこの会社を止めないのは、ひとえにそういう仕事が出来る会社がここしか無く、そういう仕事が好きだったからである。

「でもねぇ、好きだから入ったけど……もうちょい家畜扱いしないで欲しいかなと」

ある整備員のその呟きを聞いてか聞かずか……直後に遥が爆弾発言を行う。

「あ、あと5分でV−22は転送するから。うちは時間厳守で通っているんだからね。もしそれまでに出来なかったら皆の自由研究の時間や費用を削るから」

「「「「「「「「「「何ィぃいぃィィィイ!!?」」」」」」」」」」

工場全体がまた吼えた。そして今まで他の作業をしていた者も神速でV−22の組み立てに入る。

「急げっ!! メインローターをさっさと組み込むぞ!!」

「ボルトが足んねぇ! 2番倉庫から持って来い! 往復10秒でだ!!」

「アビオニクスは入ってる!? んも〜仮眠とってるミサトっちを起こしてきて!! 早くしないと私たちの生きがいが無くなるわ!!」

彼等が急に活気付いたのは、この会社でのボーナスタイムが掛かっているからだった。自由研究と呼ばれるそれは、そのまんま自由に自分のしたい研究を出来るというものである。しかしRI社が他の会社と違うのはその資金の上限だった。

1人につき、最大で他社の1プロジェクトぐらいの資金提供があるのである。

そんな金額で何をするのか。普通なら使い切る事すら困難だが、彼等はそれを使い切るようなデカイ研究を個人で行う事が出来た。成功しても失敗しても金は会社側に返ってこなかったが、大概の研究は特許取得まで漕ぎ着け、その中には会社に莫大な利益を与えるものも多かったので、ハイリスク上等! という意気で続いている。

「俺達の唯一の楽しみを奪われるなっ!!」

「守れ!! 例え戦友ともを置き去りにしても!!」

「「「「「ウラァアァアァァァアアア!!!」」」」」

気分はすっかり東部戦線であった。常軌を逸した奮闘はまるでブルシーロフ攻勢で勝利を収めたロシア軍ようでもある。

が、多分作業が全て終わった後は1回の戦闘において、史上最大の死傷者数の大半を出したオーストリア・ハンガリー軍のよう、という言葉に取って代わるのだろう。

怒涛の勢いで作業は続き、遂にコックピット内で配線を繋ぎ、アビオニクスを入れれば終了という所までいった。大半の者は作業を終えてオーストリア・ハンガリー軍のように地面に横たわっている。

《次元転移装置による転送準備を開始します。赤いバーの内側にいる方は、危険ですので外側まで退避して下さい。カウントダウン開始。転送まで残り60秒》

次元転移装置が作動し始め、機体の周囲をAPUが旋回し出した。その中で倒れていた者も最後の力を振り絞り、脱出を図る。

《59、58、57、56……》

「お、俺はもう手がイカれて作業が出来ません! 構わず続けて下さい!」

《54…》

もう誰もオスプレイの近くにはいないかと思いきや、先ほど同僚をからかって家に追い返してしまった整備員とその先輩が、なんとコックピットの中でまだ作業を続けていた。後輩の方は先に脱出を図ろうとしたが、あえなく先輩に捕まり機内へと引き戻される。

《49…》

「穴を開けたのはどこのどいつだ! んな事言って逃げようったって無駄なんだよ!! お前の魂胆はマルッとゴリッとスリッとお見通しだ!!」

《47…》

「犯人どうせ死んじゃうんだからそっとしておいてぇ!!」

《残り45秒……》

「そうか! ならばこのまま人柱となれ!!」

先輩は言うとコックピットから飛び出し、タラップ式の扉をガチャンッと閉めた。

《43…》

「何するんですかっ!?」

後輩が扉を開けようとするが自動ロックが掛かったのか、人力で開く気配が全く無い。

《40…》

「そのロックを外すにはアビオニクスを入れにゃならん! 健闘を祈るぞ!!」

「なんじゃそりゃあ!!」

《37…》

「早く作業に取り掛からないと司君のようになるぞ!」

《36…》

「……」

司の惨状は、生命研究部の人間から聞いていた。そいつによると映画「ザ・フライ」のような見るもおぞましい姿に成り果てたとの事だ。そしてこれは完璧な噂だが、司が飛ばされてしまったのは妖怪のような生命体が跋扈ばっこする世界らしい。つまり一般人である自分が飛ばされたならば、その先にあるのは死のみである。

《残り30秒です。赤いバーの内側にいる方は……》

「!!」

後輩は行動を開始した。そこらじゅうに散らばっている基盤やスイッチ類を勘で適当にはめ込み始める。

《残り15秒です。赤いバーの内……》

最後にコンソールを超強力ガムテープで無理矢理押さえつけると、アビオニクスの入っているパソコンを繋いだ。

《残り10秒です。赤……》

【アビオニクスのインストールを開始します。転送率4パーセント】

《9秒、》

【59パーセント……】

《8秒、》

【92パーセント……】

《7秒、》

【99パーセント……】

《6秒、》

【接続エラーが出ました。もう1度配線を確かめた上で……】

「頼むぜオィィイ!!」

後輩の焦る気持ちを露知らずにパソコンはフリーズしてしまう。

《5秒、》

「!!!」

こちらのパソコンは止まったがカウントは止まらない。状況を打破しようと再起動をしようとするが、そんな事をすれば確実に間に合わなくなるだろう。

《4秒、》

「かくなる上は……」

アレをやるしかないと覚悟を決め、後輩は頭を思い切り反り返らせた。

《3秒、》

「マーティー流デロリアン復活術!!」

そしてそのままパソコンに思い切り頭突きをする。

【100パーセント。完了しました】

後輩のガッツを全体に受けて復活したパソコンは、オスプレイにアビオニクスを流し込み、動力に命を吹き込んだ。

《2秒、》

「っぅうぉっしゃあ!! 脱出だぁ!!」

オスプレイのメインコンソールに光が点り、機体の操作が出来るようになる。

《1秒、》

後輩はそれをぶっ叩き、扉のロックを解除した。

そしてそのまま扉に体当たりをかます。

「だぁぁぁぁぁぁあぁあぁあぁぁぁあぁああぁぁぁあああ 《転送開始します》 ああぁっぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

後輩がマクレーン警部よろしく叫びながら空中に身を躍らせた。

彼の足先が機内から出た直後に機体が白い光に包まれ、次の瞬間には消失する。

勢いの付きすぎた後輩はカエルの潰れるような音を立ててゴロゴロと地面に転がった。

一瞬工場は静まり返ったが……

「うん、おめでとう! 時間は守れたわ!」

「「「「「「「「「「よッしゃぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁああぁあぁあああ!!!」」」」」」」」」」

遥のその言葉が静寂を破る。と同時に大歓声が起こった。

「……し、死ぬかと思ったぁ……」

後輩がまだ治まらぬ動悸のせいで揺れる声を出す。

「だから言っているでしょ? 使い潰すんだから殺さないって!」

近くに来た遥が豪快にそう言い放ったが、生死の境を潜り抜けた者は上司に対する恐怖を少しは忘れるらしく、「シャレにならんわ!!」と怒鳴られた。

「でもこんなハプニングが日常茶飯事な、こんな工場が大好きなんでしょ? 後輩君」

遥がいたずらっぽく笑いながら後輩君の顔を覗き込む。

「…………………不本意ながら、勿論ですとも」

後輩君はムッツリしながらも少し顔を赤らめて肯定した。

その顔を面白そうに遥は眺めていたのだが、唐突に気付いたように声を上げる。

「あ、でねでね? ……新しく皆が好きそうな事をやって欲しいんだけど……」

お互いに勝利を喜んで、勝鬨かちどきを上げていた工場が一瞬で静寂に包まれた。

「……今度はほら、数年前に無人飛行させた火星往還船、あれを改造して欲しいの」


「「「「「「「「「「頼むから止めてくれっ!!!!!」」」」」」」」」」

やはり工場自体が叫んだかのような有様である。彼等に安息は当分訪れる事は無いだろう。











「こりゃあ……飛ぶのか?」

アメリカのボーイングとベルが開発した最新鋭ティルトローター機 V−22 オスプレイがクルーズたちの目の前に現れる。コックピットは何かから逃げるように開け放たれ、翼の両側に付いたプロペラも回りっぱなしとなにやら怪しげな雰囲気を醸し出す要素があったが、特異な形状に目を引かれたクルーズとミーシャはそんな事は気にしなかった。

「勿論です」

エアは自信満々で答え、それから頭を抱えた。

「ん? どうした?」

クルーズは不審に思ったが、その後のミーシャの動きの方に目が行く。

「はぁ……F−5とは似ても似つかないわね。これは……イジリ甲斐がいがありそうだわ……」

ミーシャがひげをヒクヒクさせながら機体に近づいた。まるで我が子のようにV−22を撫で回し、うっとりとしながら嘆息を吐く。

「う」

「?」

撫でていたミーシャ急に止まり、喉に何か引っ掛かったように肩を震わした。エアは気分が悪くなったのかと思ったが。

「う、……う、…………うふ、うふふ。うふふふふふふ」

完全に真逆だった。

「出た。変態ミーシャのメカマニアックス」

クルーズが若干引きながら呟く。エアもようやくミーシャが変態と言われる訳を納得した。

ミーシャは引いているエアたちを全く無視してV−22をペタペタと触り続ける。技術に遅れを取っているとはいえ、既にミーシャはF−5の改造を行ったりしているので、エアはV−22の欠陥に気付かれないためにも彼女を機体から放す必要を感じた。

「ミーシャ、基本性能等は後で説明しますので、私のバックアップに回ってください」

「もうちょっとだけ……触らして」

「……後で壊れるほど触らして上げますので今は離れて下さい。いつまでも離陸出来ません」

ミーシャはしばらく名残惜しそうに撫で続けたが、最後に側面にキスをするとしぶしぶながら離れる。

「有難う御座います。ではクルーズ、今回は単独では無く仲間と一緒に行って貰いますので紹介します」

「仲間ぁ?」

「そうです。今回はドンパチ無しの救出ミッションです。クルーズもレスキュー隊だから分かっているとは思いますが、チームで行動する方が物事というのは進みやすいものですよ。こっちです」

エアが格納庫の横にある待機所へと歩き出す。仲間という言葉に何故か不安を抱きつつも、クルーズはエアを追いかけて歩いていった。

そして不安は的中する。

「おぉ愛しのエアちゃん! 待ちくたびれちゃったぜハニー。でぇ? 俺たちの次の暴れる場所は一体どこかなぁ? 俺個人の意見としてはベットの上辺りがいいんだが……」

エアが待機所の扉を開けると物の飛び交う音と、卑猥な言葉の応酬が待っていた。そしてその渦中にいた黄金色の毛を持つ狼獣人がエアに生温かい言葉を掛ける。

「そうですね。では知り合いに頼んで特注のベッドを用意しましょうか。針の太さはどれくらいがいいですか? 細い方がそれだけ体中に刺さりますので存分に暴れられますが、何分強度の事も考えなければならないので」

腐臭を伴った春風は寒冷高気圧の前には無力だった。

「ハハハ、そんな豪華なモンを貰っちゃ申し訳と一緒にいろいろタたねぇよ。気持ちだけ受け取るさ。ところでそいつは?」

「今回、貴方たちゴールドスター小隊を現場まで運ぶパイロットのクルーズです」

「ゴールドスタぁあ!!? あの戦死者ディンゴ率いる戦争狂集団がお前等だって!? この前また全員戦死したって言って無かったか!?」

クルーズが驚いて声を上げる。黄金狼━━ゴールドスター小隊隊長 ディンゴ・ベルウッド中尉がはそれを聞いて呆れながら言った。

「いいか坊や。俺等の名前はゴールドスターだ。戦場で死んだ時に旗にくっ付けるアレだよ。そんな名前を貰ってるのに戦場に出て1回も死なないなんて失礼だろうが」

「いやアンタら確か012小隊って名前があったよな。無茶な戦闘繰り返して戦死者報告にゃ真っ先に掲載されるもんだからゴールドスターってあだ名が付いたんだろ?」

「そうだったかケント少尉?」

ディンゴは横に控えていた黒猫獣人の女に聞く。

「そうですね少佐」

ケントは手に持った支出帳に書き込むのにかまけて、上官の方を向かずに言った。飛んでいった物が壊れる度に万年筆を紙の上に滑らせる。どうやら部隊の損害記録を取っているらしい。

だがいくら報告を書いても直ぐに物が壊れてしまうので、彼女の作業には終わりが見えなかった。

ケントは無表情に筆を進めていたのだが、尻尾の毛は正直でどんどん体積が増えていく。終いには元の2倍の太さになっていた。

エアが獣人の心情を簡単に理解する方法を悟った瞬間にケントはキレる。

「テメェらいい加減にしないと八つ裂きにするわよっ!!!」

ゴールドスターの面々が一斉に動きを止めた。が、投げの体勢に入っていた1人は止まれずにコップを投げてしまう。

ケントはそれを見ると跳躍、空中でコップを回収した。1回転してから軟着陸し、コップをテーブルに置くと投げた犬獣人を睨みつける。

「い、いやっ……さすがにアレは止めれないッスよ少尉」

「言い訳は……」

ケントが犬獣人の目の前から消えた……と思った瞬間、胸に激痛が走る。

ケントがその鋭い爪を思いっきり刺していたのだ。

「……私には言わないで頂戴!」

そしてそのまま爪を上方向にスライドさせ、顎まで思いっきり引き裂く。

「うっはぁ」

それを見ていたクルーズがうめいた。以前ケイティに体を裂かれた時の事を思い出したからだ。

犬獣人が上半身を丸めて転げまわるのを尻目にケントはディンゴの隣に戻ってくる。その時点で彼女はようやくエアの存在に気付いたようだ。急いで乱れた髪を整えると、取ってつけたような営業スマイルでエアに握手を求める。

「あ、エア女史! どうも、012小隊副隊長のケント・ディース少尉です。御見苦しい所を見せてしまい誠に申し訳ありませんでした」

「いえ、もう見慣れたと言えば見慣れているので……なんせ国のトップがアレですから。国民の貴女たちがそうなるのも致し方が無い事です」

「そう言って頂けると幸いです」

レナがくしゃみをしたのは言うまでも無い。

ようやく部屋が静かになったので、エアは作戦概要を説明する事にした。

「では今回の作戦を説明します。クルーズの操縦するV−22にゴールドスターの幾人か乗って頂き、レナ姫及びその取り巻きを救出して貰います。場所はリービルカとの国境付近の森。潜鱗虫の生息地のど真ん中なので、救出作業は慎重を期して下さい」

ゴールドスターの1人gが質問のために手を挙げる。

「ドラゴンはどうなってる?」

「現在キール山脈周辺を重点的に監視しているのですが、何分数が多くて。飛行しているドラゴンを捕捉するので手一杯です。今の所特別な動きは見られませんが、国境付近では数騎のドラゴンが戦いのあった空域に移動中です」

「最悪トカゲとかち合うってか」

皆が黙りこくってしまったので、ディンゴが話を進めた。

「で、今回はV−22とかいう空飛ぶ馬車に乗るんだが……それに乗れるのは精々30人ちょいだ。20人ほどお留守番になるが……」

言い終わる前に全員が殴りあいを始める。

「な、何をやってんだアンタら?」

クルーズが状況に付いて行けずに呟いた。

「なぁに。誰が戦場に死にに行くか決めてるだけだよ」

「ヴァルハラには誰が行くか……ですね」

エアがどこのヴァイキングだ、と思いながら言う。

「そうだな。皆女に目が無いから、空飛ぶネーチャンにアピールしたいのさ。俺にゃとうに戦乙女ヴァルキリーが付いているからこんな風に高みの見物が出来るって訳よ」

言いながらディンゴがケントの肩に手を置くが、その瞬間に爪を立てられる。

「ってぇ! ……少尉〜。俺たちゃ何年来の仲よ。いい加減慣れてくれてもいいんじゃないか?」

「私は死ぬ度に関係をリセットしていますので。計算するとまだ知り合ってから3日しか経ってませんね」

「あんときゃ戦死報告挙がってたか?」

「そりゃもうバッチリと。家に帰ったら丁度ゴールドスターを旗にくっ付けていた所でした」

2人が喋っている間中エアはケントの尻尾を眺めていたのだが、ディンゴと喋っている時だけ微かに左右に揺れていた。分かり易くて面白いと思い、今度司とレナが会話しているのを発見した時はそこだけに注目してみようと考える。

「エアちゃん、レディの尻尾を見続けるのは頂けないぜ?」

ずっとケントの尻尾を見ているエアに気付いたクルーズが注意した。

「……そういうものがあるんですか。失礼しました」

どうやらこの世界で尻尾を見る事は、女性の胸を注視し続けるのと同じ事なのかもしれないと理解し、エアは目線を上げる。

丁度殴り合いも終わったようで、かっきり30人が立っていた。

「ぃよ〜し。では出撃するぞ諸君。我々の大好きな殺し合いだ!」

「「「YEAAAAAAAAAAAH!!!」」」

ディンゴの号令でゴールドスターたちは外に飛び出す。

「……任務は救出ですから、無用な戦闘はくれぐれも……クルーズ、後は頼みました」

エアの言葉は誰にも届かなかった。ので、クルーズに丸投げする。

「今回ばっかは頼まれたくねーな」

戦闘狂いは自ら戦いを招き入れる面が多々あるので、クルーズにとって迷惑極まりない事態になる事は目に見えていた。

「おい運ちゃん! 早く俺たちを戦場まで運んでくれ!!」

ディンゴがV−22に乗り込みながら叫ぶ。

「誰が運ちゃんだ!」

クルーズが文句を言いながら駆け出した。

嬉々として戦いに赴く彼等を見ながら、エアはかなり重要な事を今頃思い出す。

「あのV−22……中身がまだ全然完成してないから私が補助しないといけないんでした……」











グゥウゥゥウウゥウゥゥゥ……

「……こんな所でのんべんだらりとしていてもらちが明かない。移動するぞ」

「絶対照れ隠しでしょ」

「うるさい」

ボコッ

「いだっ!?」

「でも動くっつってもどこに行くんスか? こいつらは地の果てまで付いてきそうッスよ?」

「ここはリービルカとの国境付近だ。つまり餌ならいくらでもある」

「……ドラゴンを囮にするんスか!? んな無茶な!!」

「無茶を通さなきゃいつまでも帰れないだろう? 早く帰らないと国民にいらぬ心配を掛けるからな」

「募る食い意地の方が……わぁぁぁあっ!? ジョーク! It’s メリケンジョォォォクッ!! ノォォォッ!!」

「黙れ」

バカンッ

「ギャぴっ……」

「……二人共精神状態が限界なのは十分分かったッス。確かにちんたらやっててもしょうがないッスからね。行きましょうか」

彼等は動き出した。











国境の警備に当たっていたドラゴンが、中立空域に爆炎が上がるのを発見したのはかなり前だったが、その後この時間まで動かなかったのはひとえに偵察部隊をデッチ上げていたからだ。

「少し前なら1騎でも直ぐに偵察に出れた。情けなくなったものだ」

「最近になっていきなり空中戦が増えた。我々の空における優位も危ないかもしれない」

「同志、それは言い過ぎだ。だが確かにうかうかとはしていられない」

先遣隊の3騎のドラゴンが咆哮を上げながら現場へと向かう。彼等の1匹が言う通り、以前なら発見次第現場に急行していただろうが、先日リービルカの地上攻撃の要であるズメイ百騎飛行隊が壊滅した今となっては、嫌でも慎重にならないといけない。

「ここが現場だ」

目撃者が言うと3騎のドラゴンは一気に降下した。眼下にはただ森が続くだけだったが、一点だけ木々が薙ぎ倒されている場所がある。

「潜鱗虫が木をかじり倒したようだ。毎回思う事だが、あの蟲たちのどこにそんな知恵があるのだろう」

「本能だろう。ドラゴン桜は燃えやすい。放っておくと宿り木が全部無くなりかねない」

「下に何かあるぞ」

ドラゴンが丁度大きな穴の上空を通過した時、中に潜鱗虫とは別の物を発見した。

「あれがモルタージュが手に入れたという飛行物体か」

「どうやら壊れているようだ。持ち帰って研究したい所だが、残念な事に潜鱗虫が沢山いる」

「どうやって我等の存在を感知するのだか。ともかくここでモルタージュと何かが戦闘を行った事は確かだ」

しばらくその上を旋回していたのだが、他にめぼしい物を発見出来なかったので、偵察を終了を1匹が宣言する。

「何もないらしい。捕虜の1人でも取れればと思ったのだが……」

「物事はそう簡単には運ばない。分かりきっていた事だ」

「では帰るとしよう。下の潜鱗虫の物欲しそうな金切り声にはもううんざりした」

ドラゴンたちは旋回を中止するとリービルカの方へ戻っていった。











司たちは木の上を飛び跳ねながら移動していたのだが、リービルカ領内に入るか入らないかという所でグォッ グォッというドラゴン特有の鳴き声が聞き取った。

「ドラゴンだ」

「ドラゴンだな」

「ドラゴンッスね」

3人はリービルカへと帰還するドラゴン編隊を視認する。囮をとりあえず発見は出来たが、いざそれを実行に移すとなると話は別である。

「「「……」」」

行動に移れない内に、どんどんドラゴンとの距離は開いてしまう。

「……やるぞっ!」

遂にレナは覚悟を決めた。

彼女は止まると、ドラゴン桜の枝を折り、槍投げの要領でドラゴンに向かって枝を放つ。

ビーム機動でドラゴンに直進したそれは、狙いを過たず見事に命中した。

枝の当たったドラゴンは最初何が起きたか分からないようだったが、レナがワザと見当違いの方向に投げた第2射を見て、司たちの位置を把握したようで、真っ直ぐこちらへと飛んでくる。

「……さて、ここからが正念場だな」

「もうちょっと心の準備とかヒトの都合とか考えようよ?」

ドラゴンの迫力に完全に呑まれた司が文句を言った。

「男ならもっとしっかりしろ!」

「レナさんが肝っ玉太すぎなの!」

「それで今疑問に思ったんスが……ドラゴン呼んでその後どうやって俺等の囮にするんスか?」

ウィローが逃げればいいのか待ってればいいのか判断出来なかったのでレナに聞く。

が、答えが返ってこない。

ウィローはそれを答えとして受け取り、ため息を吐きながら走る準備を始めた。

「了解ッス。全力で逃げろって事ッスね!!」

「……そうだっ!!」

「ウィロォォオ!! お前なんでもっと前に聞かなかったぁ!!」

司たちは今までと逆方向に全力疾走をし始める。

今、追跡者に更にドラゴンを加わえてのサバイバルマラソンが始まった。











「こちらチョッパー。離陸準備OKだ」

『管制塔了解。離陸を許可する。Good Luck』

V−22が離陸する。

ヘリコプターのように垂直に上昇したそれは、主翼の両端にあるプロペラを少しづつ前に傾け、前進を始めた。

「ふぇ〜。とりあえず飛び始めたっと。後は現場に行くだけだな」

「願わくば戦いのあらん事を、だな」

「んな訳あるか!!」

ディンゴの言葉にクルーズが否定の言葉を出したが、現状はディンゴの言った通りである。

「レナ姫たちをさっさと発見。そんでもって回収してさっさと帰ってきてシャワーを浴びる! それで今日は終わりだ!」

自分でどんどんフラグを立てながら、クルーズたちは司らの下へと急いだ。





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